2024年10月16日(水)14時〜コワーキングスペースTBASEで、苫小牧ICTセミナー2024「DTPで印刷物をつくろう|基礎レイアウトを知る」ハンズオンワークショップが開催されました。ビジネスシーンで何気なく持ち歩いている名刺について、ピンタレストでデザイン検索したり、過去に名刺交換して頂いた名刺を参考に、自身の事業や取り組みにふさわしいデザインという視点で、記載すべき内容を考察しました。
DTPでフォント種類は重要
明朝体 | ゴシック体 |
日本語の伝統的な書体で、縦線が太く横線が細いコントラストが特徴です。「うろこ」と呼ばれる小さな装飾があり、端正で直線的な形状が文章に品位を与えます。印刷物やデジタルメディアで広く使用され、特に長文を読む場面で重宝されます。代表的なフォントには「游明朝」や「ヒラギノ明朝」などがあります。 | 日本語の書体で、縦線と横線の太さが均一で、シンプルかつ力強い印象を与えるのが特徴です。視認性が高く、標識や看板、デジタルメディアなどでよく使用されます。装飾が少なく、現代的でカジュアルなデザインに適しており、代表的なフォントには「源ノ角ゴシック」や「UD新ゴシック」があります。 |
フォントの大きさ(名刺の場合)
px(ピクセル)は、デジタル画像や画面上のフォントサイズを示す単位であり、画像を構成する小さな点のことを指します。通常、ディスプレイの解像度はピクセル数で表されます。名刺印刷の場合、結論から申しますと「氏名、団体名」は10〜14px、「役職名、住所」は8〜10pxが望ましいです。尚、Canva内のフォントサイズ単位はpt(ポイント)ですが、pxと読み替えて問題ないでしょう。
縦書きの明朝体、読みやすさのゴシック体
明朝体の特徴は、その美しさにあります。優雅で情緒的な文章に最適で、特に女性向けの印象を与えます。実際、私が名刺交換でいただいた名刺をファイルで確認してみると、女性社長の名刺には縦型のレイアウトが多いことに気づきました。
ゴシック体の特徴は、読みやすさ、印刷のしやすさにあります。明朝体の小さい文字を印刷すると稀に掠れて印刷されてしまい、読みづらい事象が発生します。その点、ゴシック体の文字線は均一のため、その心配は低減されます。尚、本Webサイトのフォントは「スーラ」というフォントでゴシック体に分類され、文字面を大きくデザインしているため、「暖かく優しい表情」を持ち、文字組みしたときの美しさを最優先しデザインしています。本文から見出しに最適で、読者年齢層の広い作品に多く使用されています。
名刺は縦型?横型?
基本的に、文字が縦書きである場合は、名刺も縦型にするのが理想的です。特に縦書きには明朝体がよく合います。しかし、アルファベットや桁数の多い数字が含まれる場合は注意が必要です。例えば、URLを記載するときにアルファベットを縦書きにすると、読みづらくなってしまいます。多くの方が会社のホームページURLやメールアドレスを名刺に記載することを考えると、横型・横書きの名刺が一般的に選ばれるのも納得できます。
文字間・行間も工夫
可読性を向上させるために、文字の大きさや太さを調整して視覚的に強調したり、文字の間隔を詰めたり広げたりしてデザインのバランスを整える技法は「タイポグラフィ」として知られています。タイポグラフィの魅力は、デザインを通じて情報の優先順位が視覚的に表現される点です。特定の要素を強調することで、読者の目線を自然に誘導し、伝えたいメッセージを効果的に届けることができます。
さらに、タイポグラフィは装飾性と実用性の両立を図る手法でもあります。単に美しいだけでなく、読者にとって情報が理解しやすい形にすることが求められます。例えば、ヘッダーやサブタイトルには大きく太いフォントを使ってインパクトを与え、重要な情報だと示す一方で、本文には読みやすさを重視した適度なサイズや間隔のフォントを選ぶことが一般的です。また、文字間や行間を調整することで、文章全体が見やすくなり、無理なく読者が情報を追えるようになります。
特に現代のデザインにおいて、タイポグラフィは単なる視覚的な装飾にとどまらず、ユーザー体験を向上させるための重要な要素となっています。ウェブサイトや印刷物など、あらゆるメディアにおいて、読者が最も欲している情報をスムーズに伝えるための手段として、タイポグラフィの技法が活用されています。何を最も伝えたいのか、読者が求める情報は何かといった点を細かく考慮し、それに応じて文字の配置やデザインを最適化することで、視覚的に魅力的かつ機能的なデザインが生まれるのです。このように、タイポグラフィは単なるデザイン技法ではなく、情報の伝達力を高めるための重要なツールとして多くのクリエイターに活用されています。
まとめ
話が少し名刺デザインから逸れてしまいましたが、名刺という一見シンプルな自己紹介ツールでも、工夫次第で多彩な表現が可能です。事業や取り組みを効果的にアピールする手段として、名刺は非常に有用です。「ただの紙片」と捉えず、自分自身を表現する最もシンプルで強力なPRツールとして、ぜひ名刺を活用していただきたいと思います。